真・異種格闘大戦 7 (アクションコミックス)シグルイ 13 (チャンピオンREDコミックス)
 なんかこう…我ながら濃いチョイスだなあ…。
 
 真・異種格闘大戦はホントに面白いです。
 ちょっと脇にそれつつ話しますが、手塚先生のブラックジャックに、黒男が病院を買収するシーンがあるんですが、それがたった1コマの出来事で、黒男が机に札束デンと置いて、太った偉そうなおっさんがそれに飛びつくっていう、それだけ。
 病院買収なんて出来事、それこそリアルタッチの漫画でやったら何巻使うかわかんないのに、1コマって凄いなあ。
 最近はそこまでのプロセスを大事にする…というか、踏まなければ先へ進めない、と考えている漫画が多いなあ、と漠然と感じます。「面白いあそこにいかなきゃいけないから、つまんないこれをかかなきゃいけない」っていう、無駄ではないけどつまんないことに貴重なページを割いて冗長になってる漫画、いっぱいあるんじゃないか。
 なまじ漫画というものが文化として認められてきた弊害だと思うのですが、賢い大人が納得するものを描かなきゃいけないという気負いをそこかしこから感じ取ってしまいます。
 戻して、真・異種格闘大戦も、そういうことを考えている漫画なのではないかなあ、と僕は勝手に思っているのです。この漫画にびっくりする程面白いシーンしかないのは、つまらない部分に、つまらないという価値しか見出さず、徹底的に切り捨てているからだと思うのです。
 
 シグルイ、は、虎眼先生が亡くなって以来あの化け物二人に勝てるキャラが出てこないので、ちょっともう新鮮なインパクトはないです。ただ、ようやく隻腕の藤木が対伊良子に具体的な対策を考え始めて、ここ数巻の死に体からは、徐々にチリチリとしてきました。
 「目明きの手練れすらも錯覚する凄まじい鬼気を込めた刀を、さながら分身の術のように囮と化し、その隙に自身は必殺の当身で敵を粉砕する」という、なんというか文章にしてもオイオイ!と突っ込んでしまいたくなるような武士にあるまじき破天荒な奇策は、果たして伊良子に通用するのか